原因3:政府の政策

サブプライムローンってなんだかよく分からない。ローンの仕組は?何が問題なの?どういう風に私たちの生活に影響しているの?そんなサブプライムローンの色々な疑問を解決します!

原因3:政府の政策

政府の政策

政府による誤った規制と規制緩和の両方が危機の原因の一つとなっています。議会証言において、SECとアラン・グリーンスパンは共に。投資銀行に自主規制を許したことの過ちを認めています。持家所有者を増やすことは、ルーズベルト、レーガン、クリントン、G.W.ブッシュなど、何人もの大統領たちの目標でした。1982年、米国議会は選択的抵当権取引均等法(AMTPA)を可決し、これによって連邦の認可を得ていない住宅融資業者が変動金利型住宅ローンを発行する道を開いたのです。1980年代初頭に現れて普及した新型の住宅ローンには、オプション変動金利型、バルーン支払型、そして利息のみ支払型住宅ローンなどがありました。これらの新型ローンは、銀行が長年営んできた従来型な固定金利の割賦住宅ローンに取って代わったことで特筆されます。S&L危機に繋がった銀行業規制緩和に対する批判の中には、これらのローンの悪用を防ぐような規定を議会が作り損ねたというものがあります。これ以外、変動金利型住宅ローンを用いた略奪的な融資行為が蔓延しました。サブプライム住宅ローンのおよそ80%は変動金利型住宅ローンです。1995年から、ファニーメイなどの政府支援機関は、低所得者へのローンを含むような不動産担保証券を購入する際に政府から税制上の優遇措置を受けるようになりました。こうしてファニーメイとフレディマックがサブプライム市場に関わり始めたのです。1996年、アメリカ合衆国住宅都市開発省は、ファニーメイとフレディマックに対し、住宅ローンを借りる世帯の所得の中間値に着目して、購入する住宅ローンの少なくとも42%はその中間値を下回るような世帯向けに発行されたものであることとする目標を課しました。この目標は、2000年には50%に、2005年には52%に引き上げられました。2002年~2006年にかけて、米国のサブプライム市場が以前の292%にまで成長したのに伴い、ファニーメイとフレディマックを合わせたサブプライム証券の年間購入額は380億ドルから1750億ドルまで膨らみ、その後で年間900億ドルまで落ち込みました。この中には3500億ドルの「Alt-A」証券(プライムとサブプライムの中間のリスクを持つとされる証券)が含まれていました。ファニーメイは1990年代初頭に債務不履行リスクが高いことからAlt-A商品の買い入れを一度は取りやめていました。2008年の時点で、ファニーメイとフレディMacは直接または間接に5兆1千億ドルの住宅ローン債権を所有しており、これば芸国住宅ローン市場全体の約半分に相当しました。政府支援機関は常に高いレバレッジを用いてきており、それらの純資産は、2008年6月30日現在僅か1140億ドルしかありませんでした。2008年9月、GSEの信用保証能力に懸念が生じた結果、連邦政府はそれらの法人を「保存管理者状態」に置くことを強いられ、事実上納税者負担によって国有化することとなりました。

グラス=スティーガル法の廃止

グラス=スティーガル法は世界大恐慌を受けて成立しました。これは商業銀行と投資銀行を分離したもので、一つには前者による融資行為と後者による格付け行動の間に潜在する利益相反を回避することを意図して制定されました。しかし1999年にこの法律は廃止されました。経済学者のジョセフ・スティグリッツはこの法律が廃止されたことを批判しました。彼はこの廃止を「議会ではフィル・グラム上院議員が唱導した銀行および金融業界による3億ドルを投じたロビー活動の総決算」と呼びました。彼は投資銀行的なリスクを取る文化がより保守的な商業銀行的文化を圧倒し、ブーム期間中のリスクテイク水準とレバレッジ水準を増大させたことから、これが危機に寄与したと主張しています。1980年代後半の貯蓄金融危機の際に連邦政府が貯蓄金融機関に対して公的資金注入を行ったことは、他の金融機関が高リスク融資を行うことに弾みを付けた可能性があり、従ってモラル・ハザードを煽った可能性があるのです。保守派とリベラル派は米国コミュニティ再投資法(CRA)の影響についても議論してきました。この法律を巡る議論には、成立した1977年当時の米国における低~中所得者層助成に絡んで人種差別問題とも関連があるため微妙な側面がありますが、批判派はこの法律が信用不適格な借り手に対する融資を煽ったと主張しており、擁護派は30年間に渡ってリスクを増やすことなく融資してきた歴史を主張しています。批判派はまた、1990年代半ばのCRA改正が、さもなくば融資不適格だった筈の低所得者への住宅ローン総額を増大させ、そのうちかなりの数がサブプライムだったにも関わらずCRAに基づく住宅ローンの証券化を許したと主張しています。一方で連邦準備制度理事会のメンバーであるランドール・グロズナーと連邦預金保険公社議長のシェイラ・ベアは、共にCRAに危機の原因を求めるべきではないとの考えを表明しました。2010年1月、経済学者のポール・クルーグマンは、住宅及び商業不動産の価格バブルが同時に膨らんだという事実がファニーメイ、フレディマック、CRAや略奪的融資が危機の手原因だとする人々の論拠を崩していると論じました。別の言い方をすれば、これらの潜在的な原因に影響されたのは住宅市場だけだったにも関わらず、バブルは両方の市場で発達したということです。

不正確な信用格付け

信用格付け機関は現在、リスクの高いサブプライム住宅ローンに基づいた不動産担保証券に「投資適格」等級を与えてきたことで取調べの対象となっています。これらのMBS(不動産担保証券)が投資家に売れたのは、こうした高い格付け故の事で、それによって得られた資金が住宅ブームを支える結果となりました。これらの格付けは債務不履行保険やエクイティ投資家による損失引き受けといったリスク低減施策によって正当化されていると信じられていました。しかしながら、サブプライム関連証券の格付けに関与した関係者の一部が格付け過程に瑕疵があることを当時既に知っていた形跡もまた存在しています。批評家たちは、格付け機関には利益相反行為があったと主張しています。仕組証券を作成・販売した投資銀行その他の企業事態から報酬を得ていたからです。2008年6月11日、SECは格付け機関と仕組証券発行者との利益相反を緩和するためのルールを提案しました。2008年12月3日、SECは信用格付け機関への監督強化策可決しました。これは、10ヶ月に及ぶ調査を通じて利益相反を含む「格付け過程の明らかな弱点」を発見しての事でした。2007年第3四半期~2008年第2四半期の間に、格付け機関は1兆9千億ドル相当の不動産担保証券について信用格付けを引き下げました。金融機関は所有MBSの資産価値を下げざるを得ず、自己資本比率を維持するために増資が必要になりました。これが新株発行に至った場合は、発行済み株式の株価が下がりました。こうして、格下げによって多数の金融機関の株価が下落したのです。